2004.4.4 日曜日 in 福岡

毎年、年に2-3度、マキコレの元に集まったカーヴィストの勉強会があります。
今回は現地での生産者との絆も深く、また、机上の勉強では誤ったままの情報など
を整理しましてきちんとした情報の伝達の再確認をいたしました。
それは図らずも、かないやさんがインポートしているワインの素晴らしさを
再確認するとともに、ワインについてウソの多いこの業界の中で本物のワインを
見抜く力を養う講義となりました。今回は福岡で集まりでした。ホスト役の杉山酒舗さん
ご苦労様でした。
まずは畑の勉強から、続いて醸造の勉強、そしてビオ・ワインのティスティング
11月頃には実が落ちて枝だけになる。それからの1年間の説明

休息期には枝が仮死状態になる。畑にスキなどを使って空気をいれる

1月の仕事

◆12月1日、収穫後そのままになっていた木の“プレ・タイエ”
畑の土の手入れ、堆肥や土作り。

・冬場は休息期で養分が幹に集まる
スキで土に空気をいれてあげたりする。
幹に土盛りをして寒さから守る、これを“ビタージュ”

A、プレ・タイエ-剪定して養分を貯めるために先の幹を切って本体に戻す。
今年使った幹は切る。切った枝は病気の感染を防ぐために焼却が義務づけられている。
タイエとは剪定のこと。 (病気-ベト病、うどんこ病)(焼いた枝は肥料になる)
今年用の枝を2つ残して1つは保険、1つは今年用にて使う。

B、ビタージュ-幹を守るために土盛りをする。

C、土盛りを元に戻すのをデビタージュ。

◆2月3月、剪定。剪定の後の枝の処理。

◆4月、プレール、零度以下が何日か続くことにより、ブドウの木が目覚める。
・剪定後積算温度(零下の気温を足したものの温度)が-45度になるとブドウの木が目覚めて
水が滴り落ちる

◆病気対策など。農薬や除草剤。
・1960年頃からフランスに農薬が登場。農薬の影響は殺虫剤と同じ成分が葉に入りいずれブドウの
実までくることは間違いない。
・農薬をやめる方向ではあるが、ただやめると食べ放題になるので、フェロモンカプセル(害虫を攪乱する)
やティプロドーム(バッタ系の虫にダニを食べさせたり蜘蛛に食べさせたりする)-天敵で対応する

◆5月6月、枝や葉が伸びね余分な枝を取り除く・ロニアージュ。(機械刈りできる)
・日当たりを確保することと、見た目にもきれいなために特にブルゴーニュでは行う。
また、上に来る養分を下に戻す。
・ローヌやプロヴァンスは日当たりを防ぐためにカットしない。
ブドウの花が咲き、小さい実が出来る。
・受粉障害によるミロンダージュという糖度だけが上がるブドウ(種なし)
それと酸のみが上がるベルジュ(種あり)が出来る。

◆エフィヤージュ(2003年のような日照り強い日は例外)
・葉っぱが増えてくると日当たりや風通しが悪くなるので手作業もしくは機械で葉っぱをむしって作業する。
当然2003年のような暑い年はやらない方が良いのですが、例年の慣習のみで生産しているところは
行っていたそうです。
(干しぶどうのグリエになってたところもあったそう)
◆ヴェレゾン(ブドウの実が色着く)、糖度と酸度のチェック。
・有能な生産者は糖度と酸のチェックを始めて収穫時期を考えるが要領の良い?生産者は、その地区の有名な
ドメーヌとあわしちゃうという輩もいるし、7月になったからバカンスにいって小作が言われた仕事しかせず、
バカンスからかえってきたらばグリエしか残ってなかった。そんな状況で出来たボジョレーヌーヴォは甘く
なってしまった。という話もある。
◆ヴァンダンジュ・オン・ヴェール(実が膨らむ前が最良)。
・雹の被害が落ち着く7月に行う。ベストは実が膨らむ6月であるが、雹が8.9月に降るときもあるので
どうしても遅くなりがちです。
◆9月10月収穫。手摘み、機械、小さいケース、大きい入れ物。SO2との関係。
・手摘みの方が腐ったブドウを選別出来るのでSO2は少なく出来る。
◆完熟したぶどう、完熟しないブドウ、酸のないブドウ、との使い分け。補酸について。
先ほどの受粉障害のブドウを収穫したブドウの状態によっては加えて調整する。
96年は酒石酸が多い01年はリンゴ酸が多いー
マロラティック発酵でリンゴ酸は乳酸に変わるのでまろやかになるために酸の残量が減るー
安定しないので酒石酸を発酵の途中で入れる。
◆有機農法とビオ・ディナミ
tastingで実体験する
◆収穫量の謎(所有ヘクタールと樽の数)。V.V.とJ.V.の違い。

殆どウソの世界

総収穫量ーネゴシアン売却分=蔵に残る量÷収穫面積
これが発表されている数字の正体です。また下図のようなトリックがあります。

ワイン法のからくり
・ワイン法で収穫出来る量に規制がありますが、これもINAOの方から今年は天候がよいので3割り増しOKとか
そういう話があります。
・なんといっても、あのアルノーアントでさえ45hlに収穫量であります。アントはブルゴーニュ1畑に出ている男と
言われている男です。ここよりも少ない収穫量というのはちょっと考えられないでしょう。
また、よく「収穫量はいくらですか?」との質問にも少なく言えば喜ぶんだったらと少なく申告する生産者も
多いので、実際の処は飲まないとわかりません。
逆に言えばあなたの舌を信じて飲めばわかるということです。




☆ワインを守る自然派の還元要素
・ワインが閉じるとかというのは“還元している”ということ
その要素は下記の要素です。
-細かい澱(lies fines)
-タンニン
-CO2
- ワインの総体的なバランス
-自然にブドウに含まれる硫黄化合物

・ワインに含まれている酸素が結合したり、離れたりがワインの中で行われている
空気とかタンニンが結びついてる時は開いている、離れた時は閉じている
と考えられる。
開いている-還元要素と酸素が結びついている時
閉じている-還元要素と酸素が離れている
温度の影響が高いと思われる。
だんだんと結びついて熟成していく
☆添加可能な酸化防止剤
-SO2
-L-アスコルビン酸(ビタミンC)
-ソルビン酸(輸入の場合は通関不可)

SO2
・SO2は多く入れれば入れるほど酸化が防げるわけではありません。ワインの成分と
結合出来る量は決まっていて(ワインによって違う)、結合しないSO2がガス状になっ
てワインの中を浮遊します(抜栓してから除々に揮発します)。結合しているSO2によ
って酸化からワインを守るわけですが、多く結合した場合や浮遊SO2は鼻や口で刺激
として感じ、ワインの香りや味のバランスを崩してしまいます。

SO2無添加のワイン
・SO2無添加のワインにも、ブドウの実の中には天然の硫黄が含まれており、SO2に
よく似た形の化合物になって酸化からワインを守る事が出来ます。これには畑での
仕事、ブドウの育て方が大きなポイントになってくるのです。
乱雑な仕事をするとSO2が約5倍の量が必要、逆に言うと、きっちりとSO2 を少なく
するためには約5倍の手間がかかるということです。
180mg/lがブルゴーニュの規制

BIOのワイン=SO2無添加のワインではありません。逆にSO2を最小限に抑え醸造している
ワインに必ずしもBIOと表記されているわけではありません。
・酸化してしまっているものも多々見受けられる
・きちんとした畑仕事が出来ていないのにビオの方式で造ってしまっているため

☆ワインが若い
ワインに飲み頃というのがあるように、飲み頃で無いワインにはいくつかの特徴があり、
それを十分に理解することによって若いワインもそれなりの楽しみがあります。

-若い苦み
-“青い”と感じる酸(完熟度の少ないブドウを使った場合)
-細かいパウダーのようなタンニン(アフィラントがあてはまる)
-閉じていて、香りも味も出ていないワイン
-CO2を含んでいるワイン

枯れた-いい意味で無いときの熟成
・ワインがアクシデントを起こしていて、色が茶系に変化またフルーティさにかける
原因は畑での仕事や流通での状態
・ところがしっかりした場合は下図のような経過をとるので、今まで経験した生産者が
どうあがってくるかを体験的に覚えるしかない。

vinifications -Elevages du vins ワインが出来るまで ◆醸造・熟成◆
・業界の型でもワインの醸造の過程を完璧に理解している方がいません。ですので今日は
醸造についてしっかりと説明します。
★収穫 -材料であるブドウが健康であること
    -完熟度(糖度と酸のバランス)

★選果 -畑(収穫)の時点で
    -蔵の中で、キュベに入れる前(最終選果)

・シャルドネの方が酸が残っているうちに収穫するが、実はピノの方が早熟
実はシャルドネの方が晩熟でアントやマレシャルなどは後から収穫
ブドウのできが80%
・早く収穫すると青いと感じる酸が大きくなる。
・いい生産者は一年間びっちりと手入れをしてより凝縮したブドウをつくる。
・摘むときに選果したものをもう一度蔵の中で生産者自らの選果を行う。腐ったブドウを
きれいに取り除くことによってSO2を 減らすことができますが、腐ったブドウをいれると
バクテリアが繁殖して雑味がでるのでより多くのSO2を増やす必要がある。

蔵でコンベアの上で6人位でさらに選果
バクテリアが繁殖してしまうので
消毒目的でSO2を入れる。

・SO2の目的は消毒と酸化防止の2つの役割がある。
ここまでは白も赤も同じ。
まずは白ワインの醸造から
白はプレスへ


★プレス(白) -プニュマティック・プレス(空気圧) とてもやさしく搾れる
・とても高価なためにだれでもは買えない。
・空気圧で風船を膨らました形でプレスするので種を壊さない。
・除梗しない方がよく搾れるので、そのままいれるパターンと神経質な生産者は
 除梗してからいれたり、または除梗したほうが5割り増しで搾れるので除梗する生産者もいる。 
      -ヴァスランプレス(横型式)
・アルノーアントはまだプニュマティック・プレスは買えていないが自分のブドウの特性や機械の
操作を熟知していてゆっくりゆっくりとプレスすることでプニュマティックなみのプレスにすることに
成功しています。
・逆にプニュでもオートマティックに使うとヴァスランよりおちる性能になる。
・クロード・マレシャルが2000年からプニュを採用して白ワインから苦みが消えました。  
これは種のタンニンがはいらなくなったため。
・白ワインのプレスにはスピードが必要なため、古来のプレスは向かない。
シャンパーニュのプレス

種の周りにタンニンが一番多い-なぜか?
・鳥に食べられたとしても種だけは渋くて出されるように種に集中してタンニンが多い。
次は皮。
・シャンパンは果実としておいしいキュベの部分のみを使用する。
種を絶対に潰さないでプレスするのがポイントです。
・タイエとキュベの境界は飲んで判断する。
・搾り始めは捨てる 
・タイエしジュースの段階で味が違う。
    -SO2を使う生産者はここで入れる

ステンレスタンクに移動して澱引き-デブルバージュ



ブルゴーニュでは白も子樽内発酵

★デブルバージュ -12〜24間後
        -清澄度がワインの品質が決め手になる
        -いい年は澱の色がオレンジ色(完熟度)オレンジ色はシュールリをするのに良い色、大体は緑色

・かさの部分があるので1/3ほどあけておいて発酵する
ステンレスタンクから樽へは重力を利用した方法で移す。ポンプを使うとかなりの空気がワインと
混ざってしまうためにグラビテー式がベスト。
・自然酵母を使わない生産者はなにかに溶かした酵母を混ぜて発酵します。
ここで醸造が終わり。この後は熟成の過程になります。
・白ワインのポイント→収穫されたらすぐプレス

★オントナージュ -樽またはタンク(ワインにより)入れる
        -細かい澱も加えることによって厚みが出る
        -樽はいっぱいにしない、栓もしない
生産者のスタイルで除梗したりしなかったり、一部を除梗したりと色々
なパターンがある。

★マセラシオン -木の解放樽
        -コンクリート槽
        -ステンレス、またはホウロウタンク
        -低温2〜10日
        -高温2〜4日
マセラシオン(漬け込みの意)(色出し、タンニンをだす。)
低温式 18°で低温で発酵を人為的にとめて色出しをする-1-4日くらいスキンコンタクト出来る
高温式(マセラシオン・フィナルア・ショー)
発酵が終わったジュースを一秒くらい 35°くらいに通す。
topic マセラシオンは発酵の中の過程に起こるもので本来は分けては考えられないが
ボジョレーの説明なんかで発酵前にするという話が蔓延しているために誤解されている。
ボジョレーでマセラシオンカルボニックをしているところはなくて、この方法でマセラシオンを
するのはブルゴーニュで2-3軒くらい。
★アルコール発酵 -低温でゆっくり発酵することで細かいフルーティ
         - 高温で発酵するとおおまかなフルーティさ
SO2は今まで発酵状態で酸素が少ない状態のところから瓶詰めを行うと急激に酸素とふれあうこととなり
ダメージが大きいので大きなところでSO2を混ぜてその間に瓶詰めをする。
蛇口を打ち込んでトルショーなんかは4つ口のもので4本同時に瓶詰めする
・この前に樽を均一化する
★ピジュアージュ -手
         -足
         -ロボ・ピジュアージュ


★ルモンタージュ  -ポンプ
 マセラシオンの液を回す
★プレス(赤) -プニュマティックプレス
       -ヴァスランプレス(横長式)
       -縦型木製プレス (手動)
・赤は発酵が終わってからプレス、赤も種を潰さない。
★オントナージュ(赤) -フリーラン・ワインを樽に
          -225,228,600リットル
          -ヴァンドプレスは年によって入れる
★スーティラージュ
-マロラティック発酵後
-樽から樽へ上積みだけを移す作業
-ワインに溶け込んだCO2を取り除く

★マロラティック発酵 -乳酸バクテリアがリンゴ酸を分解する
           -18度以上
           -アルコール発酵が終わっている方が良い
           -発酵期間は環境や年によって

★ウイアージュ 樽の目減りや試飲で減った部分の注ぎ足し作業
★コラージュ -ゼラチン(原料はチョウザメなど)
       -アルピュミン(卵の白身、牛の血液など)
赤が白なってしまう。シャンパーニュ地方では、赤ワインの品種で造ることが多く場合によってロゼ風に
鳴るときがあり、そのときは、これを使う。
       -カゼイン(牛乳)
       -ベントナイト(窒素系、カルシウム系、ナトリウム系)
       -沈殿後(2〜15日)スーティラージュ



★フィルター   -ブラック式
         -モンブラン式
         -キールラギユール(白・ピンク)

★バトナージュ -酸素を取り込みながらバトナージュ
        -酸素を取り込ませないバトナージュ
        -白ワイン、赤ワイン

★瓶詰め   -SO2
       -ビタミンC


最近話題のビオ・ディナミ生産者
ビオ(BIO)とは:農薬や化学肥料を使わずに、有機栽培でぶどうを育てること。
人間の手作業や天敵になる虫などを利用して畑を守る方法が主流。
ビオ・ディナミ(BIO−DYNAMIE)とは:有機であることを前提に、大地のパワーと
月の運行のつながりを利用し、畑を運営すること。グループで作った特殊な(ディナミゼ
-ドラム缶に空気をいれただけ!でダイナミック化と称する)された
有機肥料や、独特の自然産物(水牛の角や水晶の粉や石の粉末)を使って畑を運営する方法。

このビオやビオ・ディナミという表記はあくまで畑の運営方法であり、醸造方法とは全く関係ありません。
従ってSO2無添加である、なしは生産者の選択です。

試飲リスト
1,ドメーヌ・ディディエ・モンショヴェ DOMAINE DIDIER MONTCHOVET(POMMARD)
ブルゴーニュでは、ビオ・ディナミの先駆者の1人、ポマールで地道にビオ・ディナミ
を続けてきた生産者。SO2無添加-BEAUNE 2000 定価3,800円
寸評 アフターが短い 全体としては素直


2, ドメーヌ・ド・シャソルネイ DOMAINE DE SHASSORNEY(SAINT-ROMAIN)
1996年に始めたドメーヌ、フレデリック・コーソル自身がワインを飲むと頭が痛くなる
という悩みから無添加にこだわり、1997年からビオ・ディナミになる。
基本的にはSO2無添加
-AUXEY-DURESSES LES CRAIS 2002 定価6,500円
寸評 最初のまわってきたものがブショネ系でしたが、コンディションの良い方は最初はそれなりの
味わいでした。ただ、経過時間で急激に落ち込んでしまいました。価格が通常の2倍近いのも難点

3,ドメーヌ・ゴービィー DOMAINE GAUBY (CALCE) 
コート・デュ・ルッシオンで一番有名なビオ・ディナミ生産者。自ら畑を開墾してブドウを作り醸造する。
SO2無添加ではないが、ごく少量使用。
-COTES DU ROUSSILLON VILLAGE VIEILLES VIGNES 2001 定価7,000円
寸評 なんといってもありえない価格に驚く。誰が買うのだろう?

4,クレード・セラン COULEE DE SERRANT 
本当のドメーヌ名はロッシュ・オー・モワンだが、かの有名なビオ・ディナミの代表醸造家
ニコラ・ジョリー氏が醸造している一部のものをクーレ・ド・セランとして出される。
醸造中SO2無添加。瓶詰時に少々添加。
-SAVENNIERES COULEE DE SERRANT 2000 定価7,000円
寸評 ワイン自体の厚みはあるのに浮遊SO2が多いのか、苦みを多く感じる。
ビオ・デナミの巨匠の作品だけに期待したが期待はずれ。価格もビオでないものの約2倍

参考試飲
クロード・マレシャル サヴニィレボーヌブラン2001
さきの4つのビオではつっかかっていた飲み口や香りが、まったくひっかかることなくのどを
通っていく。まだまだ熟成途中と言われるこのワインのポテンシャルはどこにあるのだろうか。

アフィラント トロワセパージュ2001
ローヌの素晴らしきワイン、アフィラント。いつ飲んでも素晴らしい。抜栓後どんどんとあがっていく
そのポテンシャルは開けたてよりも30分、30分よりも8時間、と時間がたつほどにうまくなっていく。

クロードマレシャル サヴニィレボーヌ 1999
このワインは昨年の11月にのんだがもそのときは堅くてまだまだと思っていました。
ところが今回は相当に美味しくなっていて驚きました。

クロード・マレシャル ラドワ1997
ほんのブルゴーニュ・ルージュの上のキュベが7年たったいま素晴らしくなってました。まだまだ熟成の
余裕を残していてあらためてマレシャルのポテンシャルに驚く。
私たちのワインが他と違うのは、私たち飲み手自身も成長していく過程では同じ物が翌年出されても
感動は薄れていくばかりですが、私たちのワインの生産者は毎年毎年レベルをあげて飲み手の半歩先
を行くので素晴らしい。-うーん、納得の言葉とワインを飲めば理解せずにはいられませんでした。

実験  SO2と補酸を経験する

カブリアックのトラディションルージュを媒体にしてノーマル、補酸、SO2添加を経験した。
1,正常のもの 非常に素直で美味しいワイン
2,10g/lの酒石酸の補酸 炭酸が浮いているような酸っぱさ、香りも悪い、バランスの悪い酸で
ニューワールド系によくありがちな味のワインと化す。白ワインだとえぐみがでる。甘酸っぱい味
3,SO2添加 今回、単体でSo2を経験することが出来ました。なんと、その匂いは府立高専化学科に
かよった私には直感的に硫酸のにおいと判断がつきました。このSO2を混ぜたワインの味はというと・・・
これがフレンチのお店とかで出されるボルドーワインと全くそっくりの味わいであり、逆説的に言えば、
一般のワインにいかにSO2がどれだけ含んでいるかという話になります。

4/20に発売される専門料理に私たちワインが掲載されます。この記事の執筆者はワイナートでも
とても辛口の評価をされることで有名な田中克幸氏ですが、私たちの思い入れそのままの絶賛の
記事でした。
専門料理5月号記事
1990年代半ばから続いていたブルゴーニュ・ワインの一大ブームが去り、ブームに便乗した多くの
人々が苦しむ中、ますます支持を広げているインポーターがある。群馬県桐生市にある金井屋だ。
元はといえば1967年創業の酒屋であり、輸入業務を始めて10年にしかならないが、社長の金井強さん
自身でさえ、「これほど短期間で評価されるとは思わなかった。自分でも驚いている」というほどの
成長ぶりである。だが、現在の市場の動向を考え、人気のワインの方向性を見れば、それは決して
驚くことではない。彼らの扱うワインは、まさに今臨まれている性質を備えているからだ。
一通りティスティングしてみるとたちどころに理解出来ることなのだが、とにかく彼らのワインは
「飲んでいて疲れない」。それは自己主張の強い作為的な味わいのワインに慣れた年輩の人たちに
とっては、アタックが弱いという印象をもたれがちなのだが、本当にワインがわかっている人に
とってはむしろ評価されるべき美点であり、自然なバランスが感じられるものだ。正しい農業に
裏付けられたブドウそのものの質の高さがそのまま伝わる味わいと言える。
ようするに、それらはビオロジックなどの自然派ワインとカテゴライズされるべきものなのだが、
彼らは決してビオロジックであることをセールストークとして用いない。
「果実の質を求めれば、農業の問題に取り組まざるを得ず、そうすれば結果としてビオロジックになる」
という意味の、つまりあくまで美味しいワインを求めた結果のビオロジックなのである。
だから彼らのポートフェリオの中には、ビオロジックであるという理念のみが先行してしまい、結果が
伴わないようなまずいワイン(最近はよく見受けられる)や、一部の人にだけ評価されるような妙にクセっぽい
ワインがない。多くの人に素直に愛されるであろう、産地とブドウの特徴がきれいに表現されたワインばかり
を揃えているという点で、自然派ワインのインポーターの中にあって、最も安心出来る業者の一つと言うこと
が出来る。
このようなワインを揃えるに至った過程には、金井さんの酒屋としての長い経験がある。「20年前には、ワイン
とはまずいのを我慢して飲むものでした。現地のネゴシアンにまずい理由を聞いても、悪い旅をしたからと言って
誤魔化す。だから自分なりに、おいしいワインとまずいワインを現地で問い直してみたのです。そこで得た結論は
畑からきちんとした仕事をしたワインはおいしい、ということでした」。今でこそ、「ワインは畑でできる」とい
台詞は誰でも口にする常識となっているが、彼はその心理を自分自身の舌で見つけだしたのである。とはいえ、
そのようなワインは日本に入ってこなかった。オーナー自ら手塩にかけてブドウを育てているようなワインは
生産量が少なく、大手のインポーターにとってはビジネスにならなかったからだ。そこで金井さんは自らが
輸入することに決めた。丁度、地酒ブームが頭打ちになり、次なる商品を探していた15軒ほどの酒屋の仲間
たちが彼のワインを扱うようになり、除々に市場が開発されていった。
決定的な転機は、彼の娘である金井麻紀子さんがブルゴーニュに移り住んだことだ。最初はDijonの美術学校に
入学すべく知り合いのワイン商に預けられたのだが、彼女はそこでワインに目覚めた。ボーヌの醸造学校を卒業
し、栽培、醸造、そしてマーケティングに至るまでのワインの全てを修めた。
このことで優れた生産者たちと太いパイプが出来た。単なるインポーターではなく、金井屋はかれらの仲間として
扱われるようになり、普通では触れることの出来ない内情まで知った上で、ワインを判断する事が出来るように
なった。本物のワインだけを選ぶ彼女の評価は現地でも非常に高く、今では生産者からは、「金井屋はいいワイン
しか買わない」という賞賛を得ているという。
金井屋のワインは、一言で言うなら「生産者の顔が見える」ワインなのだ。誰がどのような考えのもと、
どのような考えのもと、どのような努力をして作り上げたワインなのかがわかる。「ワインを売るとは、
物を売っているだけではありません。作り出した人の情熱や努力を正しくお客さんに伝えることが、インポーター
の役目です。」
レストランにとっても、このようなワインは単なる飲料ではない。それ自体が正しいメッセージである。
消費者は注しよう敵に美味しい物には飽きた。いや、最近はでは疑念さえ抱いている。彼らは自然を尊重して
つくられ、人間の存在とストーリーが感じられるワインを求めている。そしてまた、食事と共に楽しめる
自然な味わいの、価格に妥当性のあるワインを求めている。金井屋のワインが「お客さんの記憶に残り、
リピートがあり、市場がジワジワし広がっている」のは、それがまさにそのような正しいワインだからである。

ポートフェリオの一部


現地の一般新聞に特集されたドメーヌミレーのワインの記事

和訳by金井麻紀子さん 
アペラシオンを極めた1つのワイン -プチ・シャブリ2002-

フランス国内でもだんだんと少なくなっているアペラシオンに見合った価格のシャブリ、ブルゴーニュの
中でもこの地は、シャルドネの原点と言われ、何万年も昔の海から貝などの化石を授かった。小石、粘土

と石灰質が入り組みこのテロワールを造っている。中でも地質学上ジュラ紀の地層キメリジアンが強い
キャラクターとなる。グランクリュの畑は日照条件と畑に好都合な地層が兼ね備わっている。
プチ・シャブリはアペラシオン・シャブリのベースとみなされている。力強さも少なく、複雑さにも欠ける。
昔はその年に飲まれたカラフ・ワインであった。瓶詰めされたプチ・シャブリは今日、ファンや素直なワイン
愛好家によって市場にかなり浸透してきました。
ドメーヌ・ミレーの2002年は、ポワリー・スール・セラン、ヴィヴィエール、ベリュ、シシェの4つの畑での
ブドウ作りに成功した。
少し黄色がかかった輝いたワインの縁に少し緑色のニュアンス、口に含むと真っ直ぐで力強い。
完熟の素晴らしいアロマとすっきりとしたフレッシュ感。その中にちょこっと感じるミネラル感が
アフターまで続き、どちも心地よい。
このプチ・シャブリはアペラシオンを極めている。

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