台風14号で全国から参加を予定していた九州・四国の仲間が出席出来ませんでした。その方
達の分も一生懸命勉強してきました。
今回のテーマは、 ・1部  14:00-19:00 ・ビオワインの詳細 − 大きく 2つに分かれ、また畑の運営方法には3つに分かれます。 ・ビンテージによる違い - 今回はアルノーアントを例題に99.00.01.02 を検証いたしました。
レジメ1
1.ビオワイン

レジメにありますように
1、畑の運営がビオ(色々な認定方法、団体が存在)
2、ワインの造り方がビオ
のどちらでも畑がビオに認定されていれば、ビオを表記することが出来ます。

※畑の運営方法の違いが3種類あります。
レゾネ方式 (LUTTE RAISONNE) 基本的に有機栽培ですが、病気の多い年には軽い農薬を使うという農法。ただマレシャルのように 15年間全く使ってないドメーヌもあれば、結局毎年使うドメーヌもある。
マキコレではラリュー、アント、  マレシャル、オーペロン

ビオロジック(有機栽培) (BIOLOGIQUE)
(ビオロジック認定の一つ)
農薬・除草剤は一切使わず、自然産物のみで畑を守る。殆どの仕事は手作業で行う。


マキコレでは、トルショー、フライト

ビオ・ディナミ (BIO-DYNAMIE)
(ビオ・ディナミの一つ)
ビオロジック+活性化した肥料やビオ・ディナミの仲間内で使われる特殊自然物質を
畑に蒔いたり、月の満ち欠けと地球引力などのパワーを利用して畑を運用する農法。


マキコレではポール・ジャナン、アフィラント

以上、3種類ありますが、基本は殆ど変わりません。
しかし、実際にはビオロジックやビオディナミの生産者も病気の多い年には農薬を使って
回避せざるを得ない年もありますし、逆にレゾネ方式といいながら、ここ20年農薬を使った
ことがないという生産者もいます。


?????それでは、ビオはどれ?あなたがビオを探している目的は何?


トルショーの様に昔から当たり前のように有機栽培を続けてきて今更ビオの申請など
しない生産者、レゾネ方式をマスコミには名乗りながら実は20年以上も農薬を使った事の
ないマレシャルなど、極めて自然に造ったワインとなんとかビオの認定を受けて表記を許された
もののいい加減な完全無添加のために痛んでしまってるワインとどちらを健康なワインとして
受け入れますか?

そもそもビオの起こりは農薬は便利なものだと認知されると共にヴィニュロン(農夫)に対する健康への
影響を考慮したのが始まりです。しかしながら、一般的な仕事+有機の仕事を行うために通常のアペラシオン
(国認定の地域のクラス)より高く売れるという事情があり、また流行っていて参入するものが多くなりました。
ところが、それは美味しいワインを造りたいわけではなくて、高く売りたいからのみなので、美味しいワインを
造りたいという当初の目的から随分離れる。

マキコレワインの醸造者たちは、本来の有機栽培の目的である農薬に頼らなくても病気や虫に負けない強い畑
強い木や枝、葉を造っていくことが最大の目的です。しっかりと畑仕事をされてつくったブドウは葉っぱも厚く
少々の害虫などに負けません。それは明らかに畑の色が濃い緑色で農薬を使用している畑とは違います。
たくさんのミネラルを吸い上げて最終目標である凝縮したブドウジュースを収穫出来れば、自然にSO2を使わなくとも
酸化に強いブドウジュースが健全に発酵してナチュレルなワインが出来ます。


ビオの表示が有っても実際には土中の残留農薬のみをクリアして、それようの肥料を使うものの、畑仕事が
行き届かないため、病気が蔓延、畑は雑草が伸び放題で、酸化しているワインがビオだからと言って、あたかも
それがビオの特徴であるかのように試飲・説明されていたりするワインや、ブドウにパワーがないのにSO2が使えない
為に炭酸ガスを大量に残さなくては持たないようなビオ・ワインが沢山あります。

うどん粉病 の イメージ図
うどん粉病で検索すると沢山でてきます。一般的には白い粉が噴いたようになるとありました。ローズマリーとかに
多く発生するようです。高温、多湿を好みます。よって、おおく植えるとうねの間隙が少なくなり風通しが悪くなり
ますので、間隙を多くすることも大変重要です。
また、実まで行くと、収穫不能になるとのことです。

ベト病 こちらもベト病で検索すると沢山出てきます。うどん粉病・ベト病はポピュラーな病気のようです。
説明では、茎の所に斑点(紫グレー)がでてきて実まで行くと、収穫不能になるとのことです。

マレシャルやアントなんかは、ふだんは使わないけど、そういう病気がでたら軽い農薬は使うよ、という
レゾネ方式を採用しているとジャーナリスト関係には必ず言ってます。ここ15年以上も全く使用していない
にも関わらず。ちなみにロマコンはレゾネ方式

結論
ビオの種類も色々とありますが、きちんとしたトルショーの時代の様にビオ造りが当たり前で無申請のワインと
最近、ビオを売り物にその本来のアペラシオンよりもうんと高く売られているがその実はギリギリの認可で
畑作業もおいしいワインを造るためでなく、ビオの認定を取るためだけに行っているワインのどちらをあなたは
飲みたいですか?

マキコレの生産者は全てがビオを十分に名乗れる畑の運営方法や醸造法をとりながらビオは目的ではなく、
おいしいワインを追求した結果の作業であるのみで、また、ちまたのビオワインと呼ばれるワインがひどい
ために、そのようなワインと一緒に見られたくないという思いでビオではあってもビオの表記はしないと
言ってます。

ここまでのQ&A
・となりの畑が農薬だらけの時の影響は? 大体、各1メートルくらい離れていてブドウの根っこ自体も下に伸びるようにするので(20-30メートル)
通常影響はないそうですが、影響を受けている場合は隣接するうねの3列分くらいのブドウの葉っぱの色が
明らかに色が薄いそうです。

・SO2の意味
本来亜硫酸には雑菌を殺菌・消毒する作用があります。
・畑のトリビア 水は天から降る雨のみ(フランスの法律)

・名古屋のブルゴーニュ試飲会での話
モンショベという前回のセミナーで飲んだビオワインの造り手のワインのブースが出ていて、そこの担当の
日本担当のフランス人がブースをほったらかしてかないやのブースにきて「おいしいね、おいしいね」を
を連発していたそうです。
かないさんは逆にとあるビオワインのブースでブルゴーニュ・ルージュなんかを飲んできて確認したが、
軽くは飲めるけど、アントやマレシャルの敵ではないと確認。とても熟成して美味しいワインには
ならないとの事でした。



2.ビンテージチャート
99年から02年の傾向をアルノー・アントのムルソーで体験しました。



左からアルノーアント ムルソー02 01 00 99    ロマネサンヴィヴァン01 アント99 コルトン92
赤の色目は、クロデラロッシュ76が左に近くロマネサンヴィヴァンはコルトンに似てました。



私たちはアルノー・アントのムルソーを例題に02から99へ戻っていく形で試飲しました。
全体のヴィンテージの特徴の説明はマキちゃんが現地で実際に見て経験したもので、マーケット用に
操作されたものとは全く異なります。それも、地方、ワインの種類、状態、畑の条件で変わりますので
総体的なものとお考えください。

・02のムルソー 現在店頭で他のブルゴーニュも多く売られていて人気もある02のヴィンテージです。
特徴としてはこの年はブルゴーニュとシャンパーニュだけが比較的いい天気でフランスは大雨、特に南の
被害が大きかった。ブルゴーニュは完熟したブドウの糖度もそこそこで酸のキャラクターが非常に優しく、
滑らかなのでグランヴァンでも優しい口当たり。アルコール度数と酸と骨格のバランスが素晴らしく、長熟
も期待出来る。が今飲んでも美味しいヴィンテージでこのムルソーもなかなか美味しかった。他のビンテージ
に比べるとアフターにいがらっぽさがやや残るが、それが将来を約束してくれているとのこと。
・01のムルソー 冷夏が続き収穫も心配された年でしたが、収穫2週間前からの好天気でなんとか完熟した
ブドウが収穫できました。(生産者によっては失敗したところも多い)
熟すスピードが遅かったからか、味も香りも非常に繊細でエレガント、厚みもあるが細ーい厚みが長ーく
つながっていると言った感じ。高いワインをお勧めするときは特に2000年よりも2001年が絶対おすすめ。
アントは事前の情報でムルソー00でさえ3日前に抜栓して素晴らしかったという情報がありましたが
当日は朝11時30分に開けて試飲は16時くらいで開くにはまだ早く、アフターにまだやや酸味が
残ってましたが全体的にはまとまってました。

・00のムルソー 収穫までの好天気で、完熟度が高く、とても皮の厚いブドウが出来ました。
完熟するまでのスピードが速かったためか、酸の熟度が甘く酸が少ないと言われてますが実際には
思ったよりもキャラクターの強い酸です。一般にはハヤのみと言われている00ですが、2004年の
年末アタリから閉じてしまって酸とアルコールのバランスがとれるのにもう少しかかります。
糖度が早く、酸度の熟成が遅い、この00を表現するのも全くその感じでした。

・99のムルソー ねっとりとまとわりつくようなミネラル感が素晴らしいムルソーでしたが、試飲直後
は白ワインが閉じたとき特有の日本酒ぽいかおりがありました。グラスに入れて5分くらいすると随分
その香りはなくなりました。このあと、午前1時からまた飲んで見ましたが、全体のバランス、スケールは
うんと上がってまして驚きました。一般的な99の特色は順調に熟した年だが、雨も少なくなく、湿気が
多かったため灰色カビが多かった年。収穫前からの好天気で収穫時の気温が高く、冷却器が大活躍した。
9月後半に降った雨の前と後で生産者の運命が二つに分かれた。香りも味もブルゴーニュらしく、エレガント
でバランスも良い。最近は少しだけ熟成香が出始めている。ワイン好きにはたまらないヴィンテージ。
(白が最高の出来、赤の方が早く楽しめる)




ここからは2003年と2004年です。
2003 フランス史上1893年ぶり、生産者の記録にないほどの猛暑、干ばつの年。
日照りが強く完熟が止まってしまったり、ブドウが焼けてしまったりと、多くの問題を抱えた年。
できあがりのワインは、アルコール度数が高く、非常に凝縮(特に色)していて、酸度も低い
のが特徴。特異ヴィンテージです。(赤はこってり、白はまったり)収穫量は極小(40%減)


死者が出たほどの酷暑で、ヌーボーが話題になった。

2004 冷夏に見舞われ、心配されていた収穫も何とか出来たが。2003年の反動でブドウが
たくさん実をつけたので、収穫量を完璧にコントロールした生産者でも例年よりも多く収穫できた
年。つけ放題つけた実をそのままにしてしまった生産者はさっぱりした水のようなワインになってしまっている。
きちんとした仕事をした生産者でさえ、爽やかで繊細なフルーティーさのワインに仕上がっている。
(白は爽やかですっきり、赤はフルーティーでのみやすい。)



※※ヴィンテージの比較は主にワインのキャラクターの違いです。
いい年 = 長熟ワイン、あまり早くは楽しめないワイン。

悪い年と一般に言われる年 = 早くから楽しめるワイン。



※ワインの飲み頃について

ワインにはそれぞれ、「今開いていて美味しい」とか「あれ、閉じてて味が隠れてしまった」など、色々な状態を
繰り返して徐々に熟成してきます。

本当のピークと言った場合のワインの飲み頃の最高の状態は、実際に熟成させてみなければ、それを造った生産者
にも分かりません!



次の試飲ワインは、飲んでみたいワインのリクエストで3種類です。

フランク・フォラン ロマネ・サンヴィヴァン01
(ニュイのワイン) 

この図のようにロマネ・コンティーをまったく隣の斜面も同じ所に位置する畑のワイン。
フォランの奥さんがルイ・ラトゥールの人でいい畑を与えられている。


飲んだ感じはスムースで若々しく綺麗なかおりがどこまでも続くワインでした。ちなみに
ロマネ・コンティと近いということなので味は似てますか?と聞きましたらキャラクターは
同じだけれどロマネの方がまだスケールが大きくなるとのことでした。ただ、参加されてる方
が若いロマネ・コンティを飲まれた方がサンヴィヴァンのほうが美味しいと思うという話があり
そのヴィンテージが01とききまだまだであり、90年前半でないと全く飲み頃でないと本領が
出てこないとのお話しでした。
さらに、若干残った物をペットボトルに取り分けておいていたものは、香りだけで8000円って
マキちゃんが茶目っ気たっぷりに言うのをなんども思い起こしてしまうほど素晴らしい香りが
翌々日になっても素晴らしいです。ほんとに瓶底に少量あるだけなのに。

フォラン コルトン92
(ボーヌのワイン)
こちらは、92というヴィンテージを感じないほど若々しい香りと味わい、しかしながら92のヴィンテージ
と言うことを感じさせる風格を持ち合わせてまあした。
最初はエアコンの風が当たってこれだけ冷えてしまい、最初は縮こまってましたが美味しかったです。

カミュジロー クロデラロッシュ76

澱が瓶底にややあり、今回試飲のなかにやや入ってしまった。味わいは他の2本よりもずっと
熟成の進んだ味わいですが、最初はタンニンがキュッと縮こまってしまったような味わいでした。所謂
還元状態にありましたが、これも時間とともに開いて来ました。


なかなか本当の意味での経験豊富な方と飲む機会は少ないので良い機会でした。


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