富士高砂酒造(静岡)

蔵の特徴

成り立ちとして天保2年(1830年)の創業で初代山中正吉により当地にて

酒蔵をたてる。近江商人だった初代がこの地と定めたのは、酒造の3つ

の元である米・水・人があり、駿河・駿東のごうりき、富士の伏流水、

能登杜氏の出会いがあり酒造が始まりました。

造りの上でのこだわり

なんといっても、自分たちが飲んでおいしいお酒をつくることです。その

ためによりよい酒を目指す気持ちを持ち続けるこだわりをもつことだと思

っています。現在考えていることは、多々ありまして年度ごとに一つずつ

実行しています。こと、造りにおきましては、当蔵では伝統的に山廃仕込

みを続け全体的に辛口となっていますので忠実に守っていきたいのは大き

く3項あります。

1,原料米をできるだけ良質なものとすること。これは、熟成に耐え、年

度ごとのぶれを抑えることにつながります。ですから自家精米は続けます。

兵庫山田、北長野美山錦、北陸五百万石、ならびに地元でも一級米をと考

えています。

2,水は蔵内の27メートルの井戸より採取しています。硬度は3以下と

大変柔らかい水です。飲んではおいしい水ですが、発酵にはやや弱い面

もありますが、富士の与えたこの水を用いての酒造りを続けて参ります。

3,仕込み方法は技・人といえるかもしれません。高砂では代々きもとか

ら山廃仕込みを続けてきました。その背景には、能登の蔵人が続いてきた

ことで蔵人を蔵内で育ててきたことがあります。高砂では杜氏の次候補を

含め人を育ています。作り上げたいのはいつの時代も高砂らしいおいしい

日本酒です。

特に飲んでほしいお酒、また飲むときに味わってほしい点

日本酒は、味わうタイミングが2度あります。1つは搾り立ての無濾過生、

そしてもう一つは熟成酒です。ですから搾り立て、あらばしり、ひやおろ

し、熟成というふうに味の変化を季節ごとにそれぞれ楽しんで頂きたいと

思います。また、当蔵木偶時といえるのは山廃です。熟成した物はぬる燗

にすると味の広がりを感じます。純米吟醸生酒は気軽にいろいろな料理と

あわしてみてください。純米大吟醸や大吟醸は酒そのものをあじわってく

ださい。

杜氏さんはどんなかたですか?

吹上弘芳

昭和31年 高卒より入蔵、40余年酒造りに従事。昭和56年現在の杜氏と

なり現在に至る。途中国税庁醸造試験所研修を2回経験し、昭和50年一級

酒造技能士の資格を取得しています。出身は石川県能登半島出身で、夏場

はそちらで農業を営んでいます。人柄は温厚ですが、自分にも厳しい人で

す。酒造期は蔵内の和を云い、半年の間一緒に暮らしていて、その時々事

故を防ぐことも大切だが気持ちが荒れると酒も荒れる。人だけでなく酒も

完成わ持った仲間だよ、とはなします。生活環境からか、「育つ、育てる」

事を知り、じっと待つことを耐えられる人柄だと思います。


8/18現地に蔵見学

富士高砂酒造 静岡・西富士宮

千葉の柏から電車を乗り継ぐこと3時間半、イメージ的には関東なのです

が時間的には大阪と千葉の真ん中ですね。(^^)

こちらはその蔵の場所が示すように仕込み水に日本の名水に選ばれた

富士の伏流水を使っています。軟水で人からは酒造りにはやれなにが

足りないなどと言われたりもするそうですが、蔵としてはこの地が与えて

くれた財産を大事にして酒造りをしていきたいという考えとのことです。

実際、蔵見学させて頂いた際に、こんなところにこだわりをもっているのか、

とか、手間のかかることをするのね(^^;とか思いながら見てました。

今の時期は蔵人はいないし、実際の作業はないのですが、酒造りに大変

かかわってくるのが蒸し米をいかにはやく麹室にいれるか、というのが

一つのポイントととしてあります。ですから釜と室との位置関係というのを

意識してみるのですが、この動線がいろいろな作業においてかなり考えられた

レイアウトになっていたことをご報告します。こちらの蔵の特色を言うならば

静岡で唯一山廃仕込みをしていること、またそれも味と香りの2本立てをして

いることでしょう。最後に研究室の冷蔵庫よりいろいろ出して頂き、これは

すごいと思ったのが、

貴醸酒仕込みの“加織”。貴醸とはお酒を仕込み水の代わりにもう一度

添えるやり方です。飲んでみた感じは、当店が以前から扱っている“かたかご

の花”をもう少しコクした感じです。500ml 1500円 なかなかいいです。

もう一点が、純米吟醸5年古酒で、これはサンプルを頂いたものを帰ってから

“わかる”お客様に、蔵見学の話しをしながら利いて頂いたら、“いつ、は

いるの”って聞かれてしまいました(^^;というわけで近日入荷する予定で

す。

(入荷しています。)

>また、各蔵元にお聞きしたいことなどあれば私が代理で聞きまして、

>後日メールマガジンにて報告致します。皆様からのメールをお待ち

>しています。

と書きましたら下記のような質問が来ました。

ホンモノのうまい酒を愛するノンベーです。

最近、ニセ酒が大手を振って歩き回っていて

悲しい思いをしております。

だいたい、純米酒になぜ8段階ものランク分けがいるんですかねー。

純米大吟醸から本醸造までよくぞつくったりと関心しますが、

ホンモノに似せようといらぬ小細工が多すぎます。

特別本醸造というまた訳のわからぬものまで出てきて、

米の風味を大切にするのに米とりアルコールをつかうとは、

これいかに?

とにかく、糖類、化学調味料、合成添加物、アルコール、廃糖蜜・・・・・

やめてください。

ごまかしはやめてください。

ニセ酒はやめてください。

うまくてホンモノの酒をつくってください。

よろしくお願いします。

魂に響きわたるような、ホンモノをつくってください。

私の伝え方が甘いかもしれませんが・・・・

回答1 西岡酒造 さま

まずは、アルコール添加は悪なのか?という問題がでますが、日本酒の

歴史をひもとくと、いわゆる柱焼酎の入っていたころの日本酒のアルコ

ール添加量というのが、どういう偶然か今の本醸造規格とほぼ同じなんです。

また、純米や吟醸の区別はそれこそ、精白が60以下ではないけれどやたら

と吟醸香のするお酒と精白は60以上だけれど純米としてのうまみにこだ

わった酒というのがあるので、この回答は非常に難しい。ただ、個人的には

お酒をいろいろと統合したいとは思っている。

回答2 富士高砂酒造 さま

回答頂けたのはまず蔵元ではないことをご了承ください。

私 :なぜ、これだけの種類が必要なのですか?

TA:やはり、色々なニーズがある以上、生産者としては造らざる得ない。

   また、それが出来る技術を持ち合わせていますし。

私なりの判断

確かに、日本酒の区分けはややこしい。大体が大手の酒を基準に日本酒と

言われても、いまだに私なんかは佳撰も上撰もまずくて飲めないし、

破損のためにしょうことなしに台所の料理酒となった○○箱の酒なんかの

アルコール臭いこと。今時の焼酎だっていいやつならこんな嫌みな味はない。

戦時中の米不足を引きずって3倍に薄めても味が残るという調味液(グルタ

ミンソーダ、乳酸、など)仕様の名残である。ところが、今の地酒蔵元が

アルコールを使う目的は増量ではないことも多々ある。いい使い方をした

お酒は飲み口軽やかで、しかも全くアルコールを感じない。特に大吟醸

などに使う場合は粕に入る吟香を液に溶かし込む働きがある。

ようは、アルコールにしてもなんにしても蔵の良心だと思う。

純米・アルコール添加論争は永遠のテーマのようにも思いますが、

本物の酒を造る、という意味ではその発生の過程はおいといて確立した

技術の1つだ思います。 


2001.2にもお邪魔いたしました。このときは、梅田のたこ料理専門店「たこ茶屋」さんのマスター箱部さんと店長の中川さん、また、酒仙の会の業界の有名人、O垣さんと一緒に蔵に行き、今年の新酒をきいてきました。毎年ぶれずに安定した酒質を保っています。