天の戸 浅舞酒造(秋田)  
980225 秋田県 横手 浅舞酒造/吟の精、秋田酵母の研修 980226 刈穂、出羽鶴、アキモト酒店 その他
天の戸のふるさと(浅舞酒造)

二月二十七ー九日 関空から秋田入り、「天の戸」へ向かう。横手から10分のタクシーのメーターはあっというまに三千九百六十円となりました。恐るべしっ。ここは、地元の米で連続金賞に入賞している実力のある蔵です。森谷杜氏は若いけども蔵人もまた若く蔵全体の雰囲気がまた、とても明るかったのが印象的です。ここでもモロミをいろいろと試飲頂きまして、貴重な体験を致しました。中でも今年の一本目のあがりだという本醸造生には圧倒されました。こんな酒が2000円そこそこというのは、とても信じられない。これからも全国的に響きわたる蔵となるでしょう。元々、ここは森谷さんが杜氏の代わりをしているうちに金賞杜氏になってしまってた歴史?が
あって杜氏以外のものが酒づくりについて熟知している。そのため、接客は杜氏がでてきてくれる。でも、いろいろお話を伺って実に真摯に消費者の意見を聞いてくれていることに驚く。そのうえで問題点もはっきり把握しているし、それに対する努力も怠っていない。何よりも酒づくりに対して色々な実験を行いそのうえでポイントを抑えていることを評価したい。
後述しますが、秋田の醸造試験所の方も本当に誉めていらっしゃいました

秋田酒事情
出羽鶴/刈穂
秋田清酒株式会社・・・出羽鶴/刈穂の総称である。実際に現地に行くまで
どういう違いがあるのか、分からなかったのだが、いってみるとよく分かりました。
まず、前身は出羽鶴で刈穂は買い取ったものだということ。酒質の違いは
刈穂がやや硬水でキレのいいしっかりした酒質に対して出羽鶴は軟水で
包み込むような柔らかい味が持ち味であることである。また、刈穂の方は薮田がなくて
舟が6台ある。双方ともに蔵の造りがしっかりしていることに気が付く。
精米、瓶詰めは出羽鶴で行う。

アキモト酒店にお邪魔して。
“今、日本酒はかつてない危機に直面している。”挨拶もそこそこにこんな話をしてくれたのは秋田で本当の地酒にこだわる秋元さんという発信型の酒屋さんである。彼は元記者で水俣にたずさわっていた人である。家業の酒屋を嫌々継ぎ、日々の疑問の中に日本の農業のいく末を日本酒の中に見いだし様々な試みをされて十年が経過しようとしています。彼のお店は秋田から約1時間、神宮寺というところにあります。彼はいいます。この村で農業で収入を得ている千世帯のうち、次期も農業でメシを食いたいといっているのがたった8件。あの仙北平野の広大な田圃が姿を消すのもあと何年もかからない。そのうえ、今年から一律3割もの減反を迫られ農家を放棄するところが加速度的に増える見込みだ。日本酒の未来はどこに進むのか?秋田や新潟は全国的にみても日本酒の消費の非常に多いところであるが、実際に多くを消費しているのは60才以上のヘビーユーザーで、あと10年もすれば劇的に消費は落ち込む。日本酒はどん底の危機的状況ですよ。」私は予想以上の行革悪革の波の早さに愕然とする。続けて彼が言う。「秋田県内では農業による収入を持つ家庭が多いだから、農業がなくなれば農業機器も売れない。そうすると今までの経済バランスが根底から崩れ落ちてしまう。酒米がじきになくなるのは自明だが、酒蔵も普通酒の壊滅的需要の中で作業を継続出来ないところがどんどん増えてくる。などなど。
今を経済的に過ごすために、安い輸入品を買いあさり、明らかにゴミとなるカンや容器はなんの対策もされないまま受け入れられ、そしてそのツケが今ダイオキシンなどの環境ホルモンという形で回ってきています。これなんかはドイツの基準の200倍以上で、能勢の汚染などは土の総入れ換えが必要とされるレベルです。私達は明らかに未来に負の財産を残している。

再び彼の新聞の興味深い記事です。あの遺伝子組み替え種子産業のモンサントのコメントは「わたしたちは数年後に迫りつつある食糧危機を回避するために、バイオテクノロジーに取り組んでいます。たとえ、それが五十年、百年後の人類に何らかの影響を与えるとしても・・」大変恐ろしい企業理念だと思いませんか?全くロボコップを思い出してしまいます。秋元氏はまた、地産地消を提唱しています。地場生産地場消費ということで本来のサイクルから考えるとごく自然なことです。彼の最後のコメントとても気にいってます。
“津波のように押し寄せるいがわしさに、自分たちはこんなに無力でいいんだろうか?何を食ってどう生きるのかもっとみんなが知恵を出し合う必要がある。大量生産・大量消費に身を任せず、大切にすべきは身近な自然、農地のはずだ。”  ・・・・賛成。